今年のお気に入り「シンフォニック=レイン」

シンフォニック=レイン DVD通常版
※少しですがネタばれあります。

  • 岡崎音楽の体現として

このゲームは、プロデューサーが岡崎律子の音楽に出会い、
彼女に音楽監修を依頼するところから制作がはじまったそうです。


岡崎音楽はこのゲームのコアであり、
このゲームは岡崎音楽の体現であると言えるでしょう。

  • 内容

一見、恋愛シミュレーション音楽ゲームです。
三人の女の子と徐々に仲良くなって、イベントをこなす。
演奏シーンは、ビートマニアみたいな感じです。


…が、このゲームをやってそんな感想を抱く人はほとんどいないはずです。
隠しシナリオが出るまではどうしようもない鬱展開で、
正直、私は気分が悪くなって吐きそうになりました。


しかし、そこで挫折してはいけません。
ネット上での「隠しシナリオが出るまでやりとおせ」という評価を信じ、
なんとかそこまでたどりつくと…。


次々と明らかになっていく伏線。
そして、最後の最後に奇跡が起きて…。


心から、このゲームをしてよかったと思えるでしょう。

  • 楽曲について

このゲームに岡崎律子が提供した楽曲は、すばらしいものです。
まず、歌詞が、キャラクターたちの内面を反映したものになっていること。
それぞれの女の子たちの、屈折した心をきちんと表現できています。


また、曲じたいに関しても、作品全体と上手く調和しており、
どの曲を聴いても、作品のキーワードである「雨」のイメージを喚起させられます。

  • 自分の見える世界はいかに脆弱か

人は、「他人が自分のことをどう考えているか」ということを、
完全にわかることはできないし、だからこそ、人間関係というのはおもしろいのですが、
このゲームでは、自分の予想する「他人の自分像」と、
実際に他人が考えているそれとが、あまりにもかけはなれています。


自分の見える世界がいかに狭く、脆弱であるか。
そういうことを考えさせられました。

  • 「きれいな嘘」もあれば、「きたない真実」もある

登場人物たちは、主人公に多かれ少なかれ嘘をついています。
それが伏線だったりするわけですが…。


うーん、上手く書けないんですけど、
嘘のなかにも、ひとかけらの真実があったり、
真実のなかにも、ひとかけらの嘘があるというか。
その「ひとかけら」はどちらも、思いやりの心ではないのか。
そういった「ひとかけらの嘘もない、まっすぐな真実」
が、いかに醜いものであるか。(同時に、怖いくらい美しいものであるか。)
そういったことを教えられました。

  • イラストについて

しろさんのイラストは最高です。萌え萌えです。
ここだけの話ですが、トルティニタがあまりにもかわいいので、
パソコンの画面を触って(以下略)。
(でも、冷たかった…。)


しかし、鬱展開になるにつれ、イラストとストーリーのギャップが…。
かなりシュールなものを感じました。

  • おわりに

もうこれ以上書くとネタばれが進むのでやめます。
とにかく、オススメ。推薦します。内向的な方は是非。