今年のお気に入り「For RITZ」

For RITZ
読んでいただいている方がいるうちに。
おそらく、今年の再生回数ナンバー1のCDです。

このアルバムは、先日紹介した「シンフォニック=レイン」の、
キャラクターソング集という側面があります。


ただし、歌っているのは、作詞・作曲者の岡崎律子さんです。
若干、アレンジが変わっているものもありますが、
ゲームをプレイした方なら、楽しめるでしょう。


以前、「雨」のイメージを喚起させられる楽曲群だと書きましたが、
通して聴くと、いつのまにか雨は上がっていて、
そこには「虹」が出ているような、そんな気にさせられるアルバムです。


ちゃんとしたキャラクターソング集もでています。
シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」
これです。「RAINBOW」です。(←上手いタイトルですねえ。)

ファンの中には、「シンフォニック=レイン」への思い入れのあまり、
最後に収録された「For フルーツバスケット」は不要だと言う人も
いるようです。


事実、シンフォニック=レインの楽曲群に浮き出た形で、
おまけのようにこの曲がくっついているようにも聞こえます。


これは、岡崎さんが生前に、
次のオリジナルアルバムには「For フルーツバスケット」を入れたい
と言っていたのですが、
しかし、「シンフォニック=レイン」のセルフカバーアルバムの製作中に
彼女の不幸があり、スタッフ達の判断で収録されたからだそうです。


私は、アルバムタイトルも、彼女の冥福を祈るように「For RITZ」に
変更されたことを考えると、
もはやこのアルバムは「シンフォニック=レイン」のサントラとは
簡単にくくれないものであり、この判断は正解だったと思います。


岡崎さんを良く知るスタッフ達の判断であり、
(まあ売れている曲を収録しなければだめだという打算もあったでしょうが)
私はそれを信頼したいと思います。


私の聞き方としては、「シンフォニック=レイン」の世界に
どっぷりと浸かっているときは、「For フルーツバスケット」は飛ばし、
そうでもないときは、終わりまで聞くという聞き方をしています。

  • 彼女の残したメッセージとして

このアルバムの歌詞には、「死」を想起させるものがあります。
それも、私のような鬱々としたものではなくて、
「人はいつか死ぬけど、でも生きることは無駄ではないんだ」
という、「生の喜び」が書き綴られています。


それは、薄っぺらいプラス思考ではないです。
彼女は、重病を抱えながら、これらの歌詞を作詞していました。
「死」と向き合いながら、「生の喜び」を書き綴る彼女。
私は、その情景を想像しただけで、涙が止まりません。


長くなりますが、I’m always close to youという曲の歌詞を引用しましょう。

明日などないかもしれないのに
どうして今日を過ごしてしまう
今がすべてと
そう思って生きてみるの


あせる気持ちがあった
どれも選べず
全部をやりたかった
すてきなことは
めまぐるしくやってくるのよ


行き着けないときはゴールが欲しくて
ただもどかしく もがいて走った
ゴールが見えると今度は惜しくて
もっともっといたい まだ続けていたいって思うのね


ごめんね お別れが突然で
今はちょっとね さみしいけど
悲しみじゃないの
いつか ちゃんと思い出になる


約束 お願いはひとつだけ
生きて 生きて
どんなときにも なげてはだめよ
それは何より チャーミングなこと

いかがでしょうか。
この曲は、ゲーム中のある登場人物の心情を的確に歌い上げていると同時に、
ファンの間では、その意味深なタイトルもあいまって、
「彼女のメッセージではないか」と言われているものです。


この曲を聴くたびに、私は涙があふれ、
「もう少しだけがんばってみよう」という気にさせられるのです。

  • おわりに

このアルバムは一生のつきあいになるCDだと思います。
(こういうことがあるから、音楽を聴くことはやめられない。)


私はこれから、折に触れこのアルバムを取り出しては聴くでしょう。
岡崎律子というすばらしい音楽家のことを想いながら。