色川武大「うらおもて人生録」 感想その1
- 作者: 色川武大
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/11/30
- メディア: 文庫
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印象的だったのはプロ論の話とか、実力と運の話ですね。赤松先生は自身について「芸術家というよりも職人」という認識をなさっているようなのですが、そういう認識と通じる部分が色川さんのお話からも感じられます。
色川さんによると、プロというのは持続を旨とし、実力は常に一定水準に保ちつつも、運も効果的に使っていかなければならない。そして9勝6敗を維持していく。アマチュアは、実力ではなく一時の強運を頼りにして、自然にまかせて勝とうとする。よって14勝1敗のこともあれば、1勝14敗になることもある。「天才ではなく秀才」「芸術家ではなく職人」タイプである赤松先生は色川さん言うところの9勝6敗の「プロ」タイプだなあと思いました。(まあ恐ろしいことに天才アマチュアタイプの人の中にはずぅ〜っと14勝1敗で勝ちまくる人もいるわけなのですがね。)
で、余談ですがネギま!という作品を考えたときに、これは作品自体が持続を旨として作られているわけで、赤松先生の才能(というか努力というか)が発揮されやすい作品なのかもしれないなあなどと思ったり。(あと、たしかどこかで「ラブひな的要素も半分ほど残した」っておっしゃってましたけど、それも持続を狙ってのことでしょうね。人気連載の後に、全く新しいことをはじめてコケる漫画家さんは数多いですから。)
えー、話がそれましたが、この本自体はこんな読み方しなくても十分おもしろいです。ただ僕に関して言えば、数年前だったら「胡散臭いエッセイ本」だと決めつけて終わっていたかもしれません。それなりに人生経験を積んだ上で読んでるから、この本の訴えかける力を感じ取れているような気がいたします。