「半分の月がのぼる空」4巻
半分の月がのぼる空〈4〉 grabbing at the half-moon (電撃文庫)
- 作者: 橋本紡,山本ケイジ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 文庫
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もうね、涙が止まりませんよ。ほんとに。
すげーいい話だ。感想は後ほど。
- 「半分の月」の意味
作中で何度も出てくる「半分の月」ですが、
これは「里香の生命力」のイメージなんだろう、
と4巻目にして気付いた。(←遅っ!)
ヒロインの里香は、心臓に病を抱えていて、
小学校の時からずっと入院生活してます。
それで、一刻もはやく手術が必要なのですが、
難手術の上、成功しても完治はしないという設定。
普通の人の生命力を「満月」とすれば、
里香の生命力は「半分の月」でしかない。
しかし、作中でその月は本当にきれいに輝いていて、
里香の持つ「弱さと強さ」のイメージを上手く表しています。
- 重なっていく夏目の過去と裕一の現在
4巻の後半は、
「どうせ無くなるのなら、一時の幸せなど無い方が良い」
と考えている夏目の悲しい過去のエピソードと、
「未来に何が起こるかわからないけど、今の幸せを大切にしたい」
と考えている裕一の決意が交互に描かれていきます。
以前までと違うのは、裕一が、
「里香がいつまでも生きられるわけではない」ということをきちんと認識し、
「それでも、いっしょにいたい」という選択を取ることでしょう。
(ほんとに成長したなあ。)
一方、夏目は、裕一を過去の自分に重ね、
「残された者の悲しみ」を独白していく。
そして、その悲しみが(私の予想より)ずっと大きいもので、
彼の考えもまた、理解できる。
作中では、亜希子がこの問題に対し、一つの答えを示します。
まあ、それは読んでのお楽しみで…。
「幸せ」とは何か?ということを考えさせられました。