「半分の月がのぼる空6」
- 作者: 橋本紡,山本ケイジ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
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前巻でお話は完結しているので、
「その後の日常」を描いた後日談的内容。
感想というか、感じたことを少し。
高校の先生がよく言ってた言葉で、
「生きるということは、可能性を捨てるということだ」
というものがありましたが、
この作品のテーマはまさにそれだと思いました。
例として、主人公・裕一の言葉を引用します。
たったひとつのもの。世界で一番大事な存在。僕はそれを手に入れた幸福とともに、いくつかのことを投げ捨てることにした。
ここで、この町で、僕たちは生きていく。だって、僕は自らの手で、未来を、大切なものを、ちゃんと選んだのだ。たったひとりの女の子と、自らの夢を天秤にかけたら、かたんと女の子のほうに傾いた。それはもう、あっさりと傾いた。
主人公に限らず、登場人物たちはみな、
「可能性」を捨て、「未来」を選びとっていきます。
時にはその「もう一つの可能性」のことを思い、
嫉妬したり、羨ましがったりするのですが、
自分が選んだ「未来」を、「まあ悪くない」と言いながら、
気負いせず、しかし、しっかりと生きていきます。
私も、さまざまな夢や理想をどんどん捨てて、これまで生きてきました。
本当に、「これだけは譲れない」と思っていたものも、たくさん捨てました。
それでも、今、心はすごく穏やかな状態でいて、満たされています。
欲望というものは止まるところを知りませんし、
嫉妬・羨望といったマイナスの感情に捉われることも多々ありますが、
それでも、生きることは「まあ悪くない」ものだと今の私は感じています。
ああ、なんか話がそれましたね。
ただの単なるラブストーリーでは無いと思います。オススメ。