機動新世紀ガンダムX 〜#39

注:機動新世紀ガンダムX 〜#20を先に読んでね。


ついに完走。素晴らしいアニメでした。
宇宙世紀ガンダムを相対化した唯一のアニメかもしれませんね。
以下、軽く感想を。

当作品では、新連邦や革命軍、さらにはフロスト兄弟やジャミルニートなど、多くの人々が「ニュータイプ」という言葉にこだわり続けるわけですが、その偏執さがきわめて滑稽に描かれていました。これは宇宙世紀ガンダムの主人公やそのライバル、あるいは連邦・ジオンなどの組織、ひいては過去のガンダム作品自体をあざ笑うかのような演出で、「メタ・ガンダム」という評価は「伊達じゃない」と思いました。←いや、これオルバも使ってるんですよ(汗

  • ボーイ・ミーツ・ガール、そしてフリーデンの絆

じゃ、この作品のコアは何なんだよと言われると、これはもう「ガロードとティファの恋愛だよ」としか言いようがないです。この2人がお互いを信じあい、絆を深めていく様子を見ていると、「ニュータイプ」という言葉に翻弄される人々はもはや滑稽にしか見えません。そして彼らは、「ニュータイプ」という言葉に翻弄されたり、あるいは傷ついたりしている人々を変えていくのですが、それが実に感動的なのです。


それに忘れてはならないのがフリーデンのメンバー。彼らは過去のガンダム作品のように軍隊内の規律などには縛られず、自らの意思に従って行動し、しだいに一致団結していきます。最終決戦で艦長のジャミルは、メンバーたちに「死ぬな」と命令しました。(「死んでも目的を果たせ」などとは命令しませんでした。)このあたりも、従来のガンダムとは一線を画しているところだと思います。

  • ガンダムX=サテライトキャノンで一撃必殺と考えない方がいい

私はゲーム等でガンダムXについてある程度知っていましたが、ガンダムX=サテライトキャノンとしか捉えておらず、「このマップ兵器すげえな」という認識しかありませんでした。実はそれは大きな間違いで、この作品の主人公であるガロード=ランは、なるべくサテライトキャノンは使わないようにという配慮をします。それは、あまりにも一度に多くの人を殺しすぎるからであり、「撃つのか撃たないのか」というガロードの配慮・苦悩が実はこの作品の見どころの一つなのです。

こういう宇宙世紀ガンダムの相対化、もっと言えば批判とも取れるような作品を作ってしまう高松信司監督はスゴイと思いました。彼のメタ・フィクション手法はすさまじく、たとえば、ガロードが一度フリーデンを脱走した際、自分のガンダムをオークションで売ってしまおうとするのですが、これは明らかにこの作品のガンプラ販促アニメとしての側面を自ら揶揄したものであり、見ていて私は衝撃を受けました。(この回のタイトル、「ガンダム、売るよ!」だし。)他にも、私は見ていないのですが「勇者特急マイトガイン」という作品で、三次元人を名乗るラスボスが、主人公達を「二次元人」だと言い放つ場面があるらしく、一度見てみたいなと思いました。


(ちなみに、同じく高松監督の「スクールランブル」(1期)はほぼ全話見ましたが、メタ・フィクション的な手法は無かったものの、奇抜なアイデアが随所に見られ、監督が同じだと知って納得した次第です。)