なぜか運転できない

実は僕は車の免許を持っていない。
いや、正確には取れなかった。


教習所には通ったのだが、とにかく天才的に才能が無かった。
仮免を取る試験に5回落ちた時点で、なんかおかしいとは思っていたが、
路上に出てからがまずかった。


まあ、路上駐車がひどいことで有名だった地域性もあるかもしれないが、
とにかく、1回目の路上運転でパニックになり、途中でリタイヤして、
教官の運転で帰ってきたぐらいである。
それからはまったく通わなくなった。


うすうす感づいてはいたが、
自分は人間としてどこか欠けているんだと思う。
それは常識的な意味での「短所」などではなく、である。


一方で、人として不完全であるという自覚から、謙虚な気持ちも持てるようになった。
中卒でも教習所を卒業できる人はいるだろう。
でも自分はできなかった。やっぱり学歴なんてなんの役にも立たないのだ。
そんなわけで僕は、車を運転できる人は全員尊敬している。
暴走族も、のろのろ運転するばあちゃんも。みんなすげえな。


しかし、自動車免許がないというのはいろいろと不便ではある。
身分証明に困るし、なにより「持っていない」と言った時のあの気まずさ。
他には、車好きの人の会話が一ミリも分からない、などなど。
結婚や転職にも不利なんだろう。これはまあ、仕方ないか。


そんなわけで、免許持ってる人。あんたすげえぜ。心より尊敬します。
免許持ってない人。別に、無くても都会なら生きていけます。ご安心を。