黒服限定GIG/LUNA SEA

思えば、自分が厨二病に目覚めたのはLUNA SEAとの出会いだった。
初めて見たのは、それこそ中2の冬。
ミュージックステーション」で「DESIRE」をやった時だ。

これこれ。95年か。。何の因果か。
阪神大震災オウム事件エヴァ、そしてLUNA SEAの衝撃。


初めて見た時は、真矢の要塞ドラムセットにビビった。
そして、ガリ勉優等生の自分は「恐怖」と「憧れ」を感じた。
当時の自分は、同級生の悪事を先生に逐一報告しイジメの対象になっていた。
型にはまった人間で、同級生のヤンキーの子の自由さをうらやむ気持ちが正直あった。
同じような気持ちを、LUNA SEAにも抱いたのを覚えている。


時は流れ高校入学。エリート校に進んだ自分だが見事に落ちこぼれる。
そんな高校時代に熱中したのがバンドだった。


90年代当時、バンドをしている高校生にとってLUNA SEAは一つの指標であった。
例えば、いわゆる洋楽に傾いた子は徹底的に否定をした。
今風に言うと「厨二病乙www」という感じだった。


余談だが、洋楽に傾いた子も2タイプいた。
ハイスタ好きをはじめとするメロコア派と、MR.BIGやGUNS N'ROSESを信奉するHR派。
だいたいまともにバンドやっているやつはどっちかであった。


自分自身も、LUNA SEAの評価にはいろいろと悩んだ。
大好きだったのだが、親しい友人がすさまじいバッシングをしているのを見ると、
「あ、俺の感覚って変なのかな。。」などと悩んでしまう。
うーん、実に高校生らしいな。


まあそんな自分だが、やってたバンドはLUNA SEAのコピー。
感覚ではすげーカッコいいと思っているのに、
周りの人の目を気にしてそう言い出せないどころか、
「いや、俺下手なんでLUNA SEAみたいな曲しかできねーしwww」とか言っていた。


実に厨二病だが、当時のビジュアル系〜メタル好き高校生は
「曲が速ければ速いほどスゲー」
「歌詞が厨二病であるほどスゲー」
というような不文律があり、
厨二病な決まり」を「厨二病な言い訳」をして破る(かつ、嘘を吐いている自分にちょっと心を痛めている)俺こそが「真の厨二病
…みたいな状況であった。
まあこの辺の痛さは分かる人だけ分かればよろしい。


ということで話が長くなったが、今回の黒服限定GIG。
感想は「ちょっと残念」である。自分でも意外であった。
LUNA SEAは進化し続けているバンドであり、サウンドに妥協はない。
特に2007年の一度目の復活ライブ以降は、練習を重ねてからライブに臨んでおり、
クオリティがめちゃくちゃ高い。
自分などカウントダウンライブを観に行ったほどである。


しかし…だ。このチープな厨二病全開の楽曲群の良さは、
「円熟したアラフォーのLUNA SEA」では引き出せなかったのだ。


この、20年ほど前のLUNA SEAの映像と見比べてみる。

この頃のLUNA SEAに宿るカリスマ性、トゲトゲしさ。危うさ。
これは、「十分な練習」ではもう取り戻せないものなのだ。。。
自分はそう思ってしまった。


自分はJAZZが好きだ。JAZZが好きな人間は音楽に対して冷徹になれなければいけないのだ。
どんな巨匠が演奏したって「ミスはミス」と指摘し、こきおろす。
そういったことを幾多の音源を聴いて行ってきた。


でもどうしてだろう。
LUNA SEAの昔の曲は、「テクニック」とか「音響」とか、そんなものでは推し量れない。
絶対に、下手くそで荒削りで、音も悪く映像も汚い昔のライブ映像の方がかっこいいと感じるのだ。


二度と聴けないと思っていた昔の曲が聴けたこと自体はすごく嬉しかった。
でも、やっぱり、ちょっと無理している気がする。
STORM以降、終幕以降の変化も含め、LUNA SEAなんだと強く思った。