平等よりも惻隠を

それと合わせて、藤原正彦国家の品格」の文章を読んでみましょう。
彼は、差別に対しては、平等よりも惻隠を持って応ずるべしとしています。


惻隠とは、弱者への思いやりのことです。
やっぱり、平等なんてものはフィクションで、
この世界は永遠に階層社会です。
「強者」と「弱者」は絶対に生まれます。
しかし、だからといって「弱者」を蹴り倒すだけでいいのか。
それは違うでしょう。「弱者」には思いやりを持って接するべしなのです。


この本においては、数学者であり論理に精通している筆者が、
「論理だけではダメだ」と結論付けており、
非常に説得力があります。


実力主義」も「共産主義」も「自由」も「平等」も、
きれいに筋の通った論理であることには違いないけれど、
それだけでは絶対に社会は上手く回らないと筆者は言います。


「弱者を思いやる心」「卑怯を憎む心」…。
そういった「武士道精神」を信ずることが大切だとしています。


時代遅れのようですが、人が「人間らしく」生きるためには、
必要なことであると私も思いました。