狼少年のパラドクス/内田樹

狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論

狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論

内田樹さんの教育論は読みごたえがある。
ご本人もあとがきで書いているが、この本は様々な文章の寄せ集めで、
エッセイごとに意見が変わっている。が、そこも含めてである。


そもそも、私教育が掲げる「教育」と「経営」の両立なんて成り立たないと私は思う。
しかし、この2つの柱を矛盾を抱えながらも支え続ける…。
そういうギリギリの仕事を私立学校・予備校・学習塾関係者はしている(はずである)。


現状、教育のサービス化は「ここまでか」と言うくらい進んでいる。
自分もそうだ。「先生」という自覚より、「サービス業者」という自覚の方が強い。
ていねいな授業より、感じのいい挨拶・笑顔の方が仕事の上で大事である。(まじで)


内田樹先生に共感し、また尊敬するところは、
「サービス業化という時代の趨勢に乗りながら、理想の教育についても実践されている」
ところである。


自分も、経営面で上司から文句が出ない程度に実績を作っておいてから、
やりたい教育を実践するようにしている。
決して「儲けりゃなんでもいい」とは考えていない。


「教育」と「経営」の両立。これは至極難しい。
私など休みの日でも悩んでいたりする。
そういうわけで、学校や塾をお探しの際は、悩んでおられる担当者がいるところが良いでしょう。
ここに懐疑的にならない人(=明るく爽やかに自分の教場紹介する人)には要注意です。